年始に確認しておきたい!人事業務チェックリスト


いつもお世話になっております。パソナシンガポールです。
本年もどうぞよろしくお願い致します。

新しい年を迎えました。年始のこのタイミングで個人としても会社としても新たな目標を立てられていらっしゃる方も多いかと思います。もしくは年度末に向けての追い込みや来年度の計画立てをスタートされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今年最初の記事では、新しい年・新しい年度に向けて確認しておきたい人事業務チェックリストをお届けいたします。年始のこのタイミングで確認しておくことで、良いスタートを切りましょう!


自社の人員状況の把握をしましょう!


駐在員を含む外国人が勤務している企業の場合には、各外国人社員の就労ビザの有効期限を必ず確認しましょう。就労ビザは有効期限の6か月前から更新申請を行うことが可能です。更新を考えている場合には、早めに更新手続きを進めていきましょう。

2023年9月1日よりEP(Employment Pass)およびS Passの申請条件が変更となっています。
EPについては新ポイント制度COMPASSが導入されており、それに応じてシンガポール労働省(Ministry of Manpower:MOM)認証の第三者機関による学歴証明書の提出が義務付けられています。
※新ポイント制度COMPASSおよび学歴証明書提出については過去のニュースレターをご確認ください。

S Passについては申請に必要な最低月額固定給が、金融サービス業界以外でS$3,000 → S$3,150、金融サービス業界ではS$3,500 → S$3,650に上がっています。

いずれも更新については2024年9月1日から適用となりますので、新制度、旧制度どちらが適用になるかは更新タイミングによって異なります。そのタイミングというのは更新申請をした日ベースではなく、現EP/S Passの有効期限がベースとなります。
(例:現EPの有効期限が2024年9月10日。更新手続きを2024年6月に行い、新EPは2024年9月11日から適用。 → この場合、現EPの有効期限が2024年9月1日以降になるため、COMPASS適用となります。詳しくはこちらをご参照ください。)




就労ビザの中で、S PassとWork PermitについてはQuota(採用枠)があるため、特に注意が必要です。現在既にS Pass、Work Permitで働いている社員がいる場合には、必ずQuotaの状況も確認をしましょう。ローカル社員の退職があった場合などにはQuotaに影響が出てしまう可能性があります。S Pass/Work Permit 更新のタイミングでQuotaが足りずに更新ができなかった…という事態にならないよう、S Pass/Work Permitの有効期限と共に把握をしておくことが大切です。

QuotaはMOMサイト内のQuota Calculatorにて確認ができます。
ただしこちらのCalculatorは、ご自身で数字を入力してクイックに確認するためのものなので、貴社の正しい数値についてはWork Permit (WP) Onlineにて必ず確認をしてください。
Work Permit (WP) Onlineは事前登録された経営層やアドミンスタッフのみアクセスが可能です)




就労ビザの申請においても重要となってくるのが、ローカル雇用数と国籍別雇用数です。特にEP申請に関してはCOMPASSにおけるポイント付与の対象となりますので、必ず確認しておきましょう。(国籍別雇用数はC3:Diversity(多様性)、ローカル雇用数はC4:Support for Local Employment(ローカル人材雇用数)で使用されます。)

この2つの項目については、myMOM Portal にて確認をすることが出来ます。
※確認方法は過去のニュースレターをご確認ください。

myMOM Portal を確認することにより、同業界における自社の状況についても把握ができます。ローカルコアな組織構成を目指すために、自社は他社と比べてどのフェーズにいるのか、企業としてどのような努力が今後必要になってくるのか、現状を把握した上で今後の計画を早めに立てていきましょう。




意外と見落としがちなのが、外国人社員のパスポートの有効期限です。シンガポールはパスポートの有効期限が6か月以上ないと入国できない国です。パスポートの有効期限が6か月を切っているのに気づかずに一時帰国してしまい、再入国にあたってパスポートの更新が必要となり、予定よりもシンガポール入国が遅くなってしまった…なんてお話もちらほらお聞きします。
就労ビザの有効期限と共に、パスポートの有効期限も企業として把握しておきましょう。 




ここ数年、日系企業では定年を迎える社員が出てきたというお話をかなり多くお聞きしています。現在シンガポールでは定年が63歳ですが、68歳まで再雇用の申し入れ義務があります。定年を迎える6か月前までに該当社員との協議を開始し、3か月前までに再雇用申し入れをするようガイドラインで定められています。

再雇用にあたって再雇用契約書の作成も必要となりますので、初めて定年・再雇用を迎える社員が出てくる企業についてはまずガイドラインをよく読み進めていきましょう。
(弊社でも再雇用に関するアドバイスや再雇用契約書作成支援も行っておりますので、いつでもご相談くださいませ。)

<参照>
TRIPARTITE GUIDELINES ON THE RE-EMPLOYMENT OF OLDER EMPLOYEES
Responsible re-employment


自社の採用計画立て・採用活動の見直しをしましょう!


自社の人員状況を把握した上で、今年(今年度)の採用計画を立てていきましょう。経営的な観点での増員もあるかと思いますが、現社員の退職に伴う採用もあるかと思います。

特にシンガポールでは例年年明けから旧正月明けにかけて、人材の入れ替わりが盛んになる時期です。既に弊社でも年が明けて求人のご依頼が一気に増えてきています。それぞれの組織構成や各社員の負荷状況なども早めに把握をして、採用計画を立てていきましょう。

期待していた社員から突然の退職届…なんてことはありませんか?
シンガポールでは個人のキャリアアップとして、転職という選択肢は一般的です。とはいえ、会社としては期待して教育してきた人材に退職されてしまっては困るということもあると思います。
思わぬ退職に繋がってしまう場合、社員との対話があまりされていなかったというケースも少なくありません。その社員が自分のキャリアについてどう考えているのか、どういったスキルを身に着けたいと思っているのか、まずは個別に話をしてみましょう。年始や年度末などの節目のタイミングで社員との1on1を行うのも良いでしょう。個別にじっくり対話をしてみることで知らなかった一面が見えたり、実はこんなことに悩んでいたということが見えてくると思います。
本人が考えるキャリアアップに対して、研修の機会を与えてみたり、新たなチャレンジを任せてみたりすることで、長期的に貴社でご活躍いただける次世代リーダーに成長してくれるかもしれません。




採用計画を立てるのと共に重要となってくるのが、採用活動が正しく適切に行われているかの確認です。特にFair Consideration Framework (FCF)Tripartite Guidelines on Fair Employment Practices(TGFEP) を遵守した公平な採用活動が行われているかどうかは非常に重要となってきます。人事担当者だけではなく、書類選考や面接に関わる全ての方がFCF、TGFEPを理解して遵守できているかどうか、このタイミングで是非確認をしてください。

<特に確認・見直しをしてほしい点>
・求人票を作成するときに公平な応募要件となっていますか?
・自社のアプリケーションフォーム(応募用紙)でスキルや経験とは関係のない項目を聞いていませんか?(国籍、生年月日、家族構成など)
・選考はスキルや経験で判断できていますか?
・面接でスキルや経験とは関係のないことを聞いていませんか?(年齢、家族構成、宗教など)
・外国人(就労ビザ申請)ありきで選考を進めていませんか?(ローカル向け求人サイトMyCareersFutureに求人掲載してますか?)

<参照>
Job Advertisements
Job Application Forms
Job Interviews


自社の就業規則書・雇用契約書を確認しましょう!


先月のニュースレターでもお伝えした通り、2024年1月1日よりPaternity leaveとUnpaid infant care leaveの取得週数・日数が拡大されました。
シンガポールでは比較的頻繁に雇用法や関連法のアップデートがございます。最後に就業規則書を見直したのはいつですか?5年以上前ということであれば、一度見直しをしてみましょう。

見直す際のポイントとしては、法律に遵守しているかどうかはもちろんのこと、シンガポールの労働マーケットにおいて一般的かそれ以上の福利厚生や制度になっているかどうかも確認しましょう。Annual leaveの日数など、法定上は初年度7日以上ですが一般的には14日~18日以上だったり、法定通りでは労働マーケットの中で見劣りしてしまう場合もございます。

弊社では就業規則書・雇用契約書の作成・レビュー・改定のサービスを提供しておりますので、いつでもお気軽にご相談くださいませ。




就業規則書の確認と共に、社員全員の雇用契約書を確認するようにしましょう。社員数が多い企業の場合には、ご自身の担当部署の分だけでも構いません。ご自身の部下の社員がどのような雇用条件で働いているのか、意外とご存知ない方もいらっしゃるかと思います。基本的に就業条件は給与条件などを除いて同じ条件であることが一般的ですが、中には何らかの理由によりイレギュラーな条件になっている社員もいらっしゃいます。パートタイム社員の場合も、一般社員とは異なる条件になっています。
改めて自社社員の雇用条件を把握することが、適切な労務管理に繋がります。







以上、今月は『人事業務チェックリスト』をお届けいたしました。今後取り上げてほしいニュースレターのテーマについてご意見等ございましたら、どうぞお気兼ねなくご連絡ください。

※本記事で提供している情報は2024年1月22日時点の情報をもとに作成しています。ご利用される方のご判断・責任においてご使用ください。本記事で提供した内容に関連して、ご利用される方が不利益等を被る事態が生じたとしても、当社では一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

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