いつもお世話になっております。パソナシンガポールです。
新年快楽!恭喜發財!
今年はドラゴンイヤー(辰年)ということで、中華系の方にとっては特に縁起の良い年だそうです。良い年にしていきたいですね!
さて、例年のことではありますが、旧正月明けから求人のご依頼が増えてきています。特に中華系の方は年度末にボーナスをもらい、旧正月で親戚で集まって近況報告や今後についての話をし、転職活動に動き出す…ということが多いようです。
そこで今月のニュースレターでは「シンガポールにおける採用活動~虎の巻~」をお届けいたします。採用活動時のお役に立てれば幸いです。
退職者が出ることになったら…
●退職者との面談(Exit interview)
社員から退職の申し入れが来たら、まずはその社員との面談の場を設けましょう。
定着率が良くない企業や採用活動がうまくいかない企業の場合、退職者との面談ができていないケースが結構多いです。退職には必ず理由があるので、まずは退職理由をヒアリングすることが大事です。退職に至ってしまった原因が会社や組織にある可能性もあるので、なるべく本音ベースで話してもらえるよう、時間を取って話をするようにしましょう。退職理由によっては後任を採用しても同じような理由で早期退職に繋がったり、既存社員の退職が続いてしまう可能性もありますので、会社として何かしら対応が必要かもしれません。
また、退職面談時には退職日と最終出社日(有給が残っていれば最後に消化する可能性あり)の確認をしましょう。最終出社日に応じて、会社としては引継ぎの計画を立てなければなりません。退職者が担当している業務内容・範囲についてもこのタイミングで今一度確認をしましょう。
退職者が外国籍社員の場合には、退職後シンガポール国内で転職するのか、国外に出るのかの確認も必要です。(国外に出る場合にはTax Clearanceの必要あり)
<退職者面談での確認事項>
・退職理由
・退職日、最終出社日
・担当業務の内容、範囲
・外国籍社員の場合には退職後の予定(国外に出る場合にはTax Clearanceの必要あり)
●組織と業務の状況把握と計画立て
退職者が担当している業務をいつ・誰に引継ぎをするのかを決める上で、組織の状況の把握が必要です。退職者が出るからといって必ずしも後任の採用が必要とも限りません。既存の社員に割り振ることで業務が遂行できる可能性もありますので、まずは組織内の各社員の業務内容や業務量を整理した上で、計画を立てていきましょう。
状況把握をした上で後任の採用が必要ということであれば、採用計画立てと募集要項の作成を進めましょう。
<Tips:就業規則や福利厚生の見直し>
退職者面談で退職理由を確認した際に、自社の就業規則や福利厚生が理由になることもあるかと思います。特にシンガポールにおける一般的な条件よりも見劣りする場合、それが退職理由の一つになっている可能性も…。その場合、採用活動をしていてもなかなか候補者が集まらないという状況になってしまうこともあるので、一度条件の見直しをしてみると良いかと思います。
弊社では就業規則書・雇用契約書のレビュー・改定のご支援もしておりますので、自社の条件がシンガポールのマーケット平均と大きな乖離がないか気になる場合には是非一度ご相談ください。
採用活動開始に向けて‥‥
●採用活動のスケジューリング
採用活動のスケジュールは退職者の最終出社日や、引継ぎをどのように行うのか、どのような人材を採用したいのかによって変わってきます。Notice Period(退職通知期間)が1か月前で、退職者自身も1か月後の退職を希望する場合には、新たに採用する後任への直接の引継ぎは難しい可能性が高いです。それでも直接引継ぎをしたい、ということであればかなり急ぎで採用活動を進める必要があります。一旦既存の他社員に引継ぎをして、後任の採用活動をする場合には、いつまでに後任に入社してほしいか入社予定日を定め、そこに向けてスケジュールを組み立てていくと良いでしょう。どのようなスキルセット・経験を持った人材を採用したいのか、面接は何回行うのか、採用決定するのに本社の承認は必要なのか等によってスケジュールは変わってきます。
<ローカルスタッフ採用時のスケジューリング例>
※外国人を採用する場合には、就労ビザ取得のプロセスも発生するため、さらに長期スケジュールになります。
●求める人物像・募集要項の作成
求める人物像・スキル=退職者と同じ、とは限りません。現在の組織の状況を把握した上で、今必要なのはどういう人物像なのかを改めて検討しましょう。その際、改めてなぜこのポジションを採用するのか、自社の中でこのポジションはなぜ必要なのか、目的・意義を明確化しておくと良いでしょう。その上で求人票を作成していきますが、中でも特に重要なのが、Job Description(JD:業務内容)です。Indeedのサーベイによると52%の求職者が応募するかどうかの判断において、JDの質は非常にもしくは極めて重要であると回答しています。募集ポジションの人がどのような業務を担当するのか、責任範囲はどこまでなのか、レポートライン、組織内での役割分担、入社後の研修計画や中長期でどのような状態を期待するのかなど、なるべく具体的に記載します。
JDが固まると、その業務をお任せするにはどのような経験やスキル(Requirements)が必要なのかが見えてきます。入社後に育成できる体制があるのか、もしくは即戦力としてすぐに一人で対応する必要があるのかによっても求める経験値が異なってきます。
Requirementsは必須要件(Must-haves)と尚可要件(Nice-to-haves)に分けて記載をするようにしましょう。理想を膨らませてあれもこれも要件に追加したくなるところではありますが、理想の部分は尚可要件に盛り込みつつ、必須要件には業務を遂行するにあたって絶対に必要な要件のみを設定するようにしましょう。
JDやRequirementsに応じて適切なポジションタイトル、給与を設定することが好ましいですが、この辺りはシンガポール国内のマーケットにもよりますので、各種ネット上で公開されているPay scaleを使用したり、我々のようなエージェントにご相談ください。(Indeedのサーベイによると36%の求職者がポジションタイトルで求人検索をする、と回答している通り、ポジションタイトルを適切に設定することも大事です!)
求人票の書き方ついては、以下の参考サイトで詳しく紹介されています。
ポジションごとのテンプレートもございますので、よろしければご参照ください。
<参考>
How to Write an Effective Job Description That Attracts Candidates
How to Write a Job Description
Job description templates and more
Salary Comparison
●公平な採用活動ガイドラインの確認
採用活動を開始する前に改めて確認しておきたいのが、Fair Consideration Framework (FCF)、Tripartite Guidelines on Fair Employment Practices(TGFEP) です。会社としてFCF、TGFEPを遵守した公平な採用活動が行われているかどうかは非常に重要です。人事担当者だけではなく、書類選考や面接に関わる全ての方がFCF、TGFEPを理解しているかどうか、採用活動を開始する前に一度確認をしてください。
<採用活動開始前に特に確認・見直しをしてほしい点>
・求人票を作成するときに公平な応募要件となっていますか?
・自社のアプリケーションフォーム(応募用紙)でスキルや経験とは関係のない項目を聞いていませんか?(国籍、生年月日、家族構成など)
・面接項目の中にスキルや経験とは関係のないことが入っていませんか?(年齢、家族構成、宗教など)
・外国人(就労ビザ申請)ありきで選考を進めていませんか?(ローカル向け求人サイトMyCareersFutureに求人掲載しますか?)
<参照>
Job Advertisements
Job Application Forms
Job Interviews
採用活動がスタートしたら…
●スピード感を持って対応を
シンガポールの転職活動のスピードは非常に速いです。早く内定が出たところで条件が悪くなければ他を見ずとも即決してしまうケースも多いです。書類選考や面接の結果は出来れば翌日までに、面接調整時もなるべく早めの日程で幅広く候補日を出していただけるとスムーズに選考が進み、良い人材を取りこぼすことなく採用活動を進めることができます。
エージェント経由で進んでいる候補者の場合には、エージェントが他社状況を把握しているので、進め方については是非ご相談ください。
●求める人物像・募集要項に則った面接を
日本時代は人事ではなかったので、実は面接をするのが初めてで…という方も意外と多いのではないでしょうか。面接できちんと話をしてオファーを出したのに、いざ入社してもらったら思っていた仕事ぶりと異なった、できると言っていた業務ができなかった、というミスマッチも実際に起こっています。面接でのミスマッチを防ぐためには、まず今回どのような人材を採用したいのか、求める人物像を明確にすることが重要です。(前述の「求める人物像・募集要項の作成」を参照)
そこが明確になった上で、面接で実際に何を確認するかを決めておきましょう。その際「●●ができるかどうか」という確認だけですと、あくまで本人の申告ベースになってしまうため、実際にはできなかったという事態が起こる可能性があります。できる・できないの確認だけではなく、これまでの業務実績ベースでも確認をすると良いでしょう。実際の業務の中で求める経験を有しているのか、もしくは求めるスキルを発揮しているかを確認します。複数人が関わるプロジェクトやチームに属している場合には、その中における本人の役割と業務範囲を確認することも重要です。
質問内容の事例については、前述のJob description templates and moreでも紹介されているので、是非ご参照ください。
また、面接はお見合いの場でもあります。候補者自身もその企業が自分に合っているかどうかの見極めをします。面接時には企業側からも自社についての説明や、今回の募集ポジションに関する説明もするようにしましょう。
面接だけで判断するのが不安な場合には、ワークサンプルテストや適性検査の導入も検討してみてください。(過去のニュースレターでご紹介しております)弊社では内田クレペリン検査という適性検査を提供しておりますので、ご興味ある方はお気軽にお問い合わせください。
●選考結果の把握とフィードバック
書類選考や面接が始まったら、選考結果の理由をきちんと確認しましょう。なぜこの候補者は不合格だったのか、なぜこの候補者は面接に進めることにしたのか、理由を把握しておくことでそのポジションにおける優先事項が明確になりますし、それをエージェントに共有することでよりマッチした人材の紹介に繋げることが出来ます。
面接官が複数いる場合には、同じ指標で合否が判断できるように事前に選考ポイントを決めておくことも有効です。予め決めておいた「求める人物像」と「面接で何を確認するのか」を全ての面接官にも事前に共有し、面接に臨んでもらうようにしましょう。フィードバックをもらう際もその指標の中で何か合わなかったのかを具体的に確認するようにしましょう。
以上、今月は『シンガポールにおける採用活動~虎の巻~』をお届けいたしました。今後取り上げてほしいニュースレターのテーマについてご意見等ございましたら、どうぞお気兼ねなくご連絡ください。
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※本記事で提供している情報は2024年2月27日時点の情報をもとに作成しています。ご利用される方のご判断・責任においてご使用ください。本記事で提供した内容に関連して、ご利用される方が不利益等を被る事態が生じたとしても、当社では一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。