シンガポールにおける採用活動~虎の巻 第2弾~

いつもお世話になっております。パソナシンガポールです。

旧正月が明けて2月に入ってから急速に求人のご依頼が増えてまいりました。
シンガポールでは、例年この時期が一番求人・求職者の動きが活発になる時期です。
通年通して採用活動している企業様もいらっしゃれば、退職者が出ることで久しぶりに採用活動をされる企業様、また、シンガポールに赴任してこられたばかりで、採用活動をどう進めればいいのか分からない方もいらっしゃるかと思います。

昨年の2月に「シンガポールにおける採用活動~虎の巻~」をお届けしていますが、今回の記事では「シンガポールにおける採用活動~虎の巻 第2弾~」としてお届けいたします。
本記事がお役に立てれば幸いです。






第2弾をご確認の前に・・・
シンガポールにおける採用活動~虎の巻~はこちらよりご確認ください

https://pasona.com.sg/ja/シンガポールにおける採用活動~虎の巻~/
※こちらのニュースレターは2024年2月に作成されたもので、一部リンクの情報が当時のものとなっております。特に最新のTAFEPガイドラインについては、こちらの記事(2月7日公開)をご参照ください。








採用活動を開始する前にまず確認しておきたいのが、シンガポールの雇用マーケットの状況です。シンガポールでは、外資系やローカル大手企業での整理解雇(Retrenchment)が話題になったりもしていますが、失業率としては1.9%(2024年9月時点)と非常に低く、業種や職種にもよりますが全体としては売り手市場です。
求人サイト運営会社のSeekによると、シンガポールでは74%の回答者が年間に複数回、求人オファーを受けているようです。

日本でも転職が一般的になりつつありますが、シンガポールでは以前から転職が当たり前であり、転職によってスキルアップ&給与アップをしていく慣習があります。
シンガポールでは毎年の昇給率がだいたい3~10%* ですが、転職では10~15%と自社に残った場合の昇給率よりも高い給与アップを目指す求職者が多いようです。

*パソナグループが実施したASEANサーベイ2024の結果では、シンガポールにおける管理職の昇給率が平均4.3%、非管理職で平均4.6%でした。(2024年度実績)

先日2月24日、シンガポールの大学卒業生の新卒給与調査結果(2024年)が発表されました。

参照:Fewer uni graduates in 2024 found full-time work, but they had higher pay: Survey | The Straits Times

年々給与レンジが上がっているシンガポールですが、2024年の大卒者の月額給与の中央値はS$4,500(約50万円)との調査結果でした。
この調査はシンガポールにある5大学 National University of Singapore (NUS), Nanyang Technological University (NTU), Singapore Management University (SMU) , the Singapore University of Technology and Design (SUTD), Singapore University of Social Sciences (SUSS) の卒業生のみを対象としているため、大卒者の一部ではありますが、シンガポールの雇用マーケットにおける給与の参考値となるため、毎年ニュースでも大きく取り上げられています。

「既存従業員の現状の給与レンジを考えたら、とてもじゃないがこんなに高い給与を出すのは難しい」というお声もよくお聞きします。給与レンジを柔軟に調整できるのであれば、それは好ましいですが、多くの場合給与を一気に上げるのはなかなか難しいかと思います。
採用活動において重要なのは、マーケットの状況を知ることです。このような状況を踏まえた上で、どういったスキルセット・経験を持った人材をどのくらいの給与レンジで雇うのかを検討しましょう。

<求めるスキルセット・経験と給与レンジでミスマッチが起きている事例>

日本語がビジネスレベルで業務経験もかなり高いものを求めているが、給与レンジがマーケットに対してかなり低い。
(検討案)
 1.日本語はビジネスレベルではなく、日常会話レベルでも検討できないか
 2.  日本語スキルの優先度が高いのであれば、求める業務経験のレベルを下げられないか

実際に募集予定のポジションがある場合には、Ministry of Manpower(MOM)が提供しているベンチマーキングツールを使って、業種や職種を指定して給与レンジを確認するのもおすすめです。

参照:Salary Comparison

ただしこちらのベンチマーキングツールはポジションタイトルのみでの検索となるため、経験年数や特定のスキルセットがある場合の給与レンジについては確認ができません。
その場合は我々のような人材紹介会社にご確認ください。

我々がお客様の採用活動をご支援する中で時々直面するのが、マネジメントとローカルHRの間で、求人に対する認識が異なることです。マネジメントはこういった人材を採用したいと思っていても、それがうまくローカルHRに伝わっておらず、マッチした人材の紹介がなかなか来ない、というケースを耳にいたします。

過去に同じポジションを募集したことがあったとしても、今回採用したい人材像が同じような人材とは限りません。その時の会社の状況や組織構成、今後目指すべき方向性によっても職務内容や応募要件は変わってきます。また、面接をしていく中で求める人物像が変わってくる、ということもあるかと思います。

採用についての最終判断を下すマネジメントと、ローカルHR、もしくはその他にも担当部門のマネージャーがいらっしゃるかもしれません。採用活動を担っている関係者内で、密に情報共有をしていくことは採用活動成功に向けて重要なポイントです。

2022 BCG/The Network proprietary web survey and analysis によると、求職者が選考時に魅力を感じる企業の特徴として、面接時の面接官による印象や、タイムリーで円滑な選考プロセスを挙げる求職者が多いようです。

給与やベネフィットはもちろん転職先決定において重要な要素ではありますが、転職時に重視するポイントの3位に「上司との関係」が挙げられるくらい、職場の人間関係も重要です。
面接と聞くとどうしてもスキルや経験を判断をしよう、という目線で取り組んでしまいがちですが、部下・同僚として一緒に働く仲間になるかもしれないことを念頭に置き、自然体で臨むことを意識すると良いかと思います。

採用活動はJob Descriptionの作成から書類選考、面接、オファーまでかなり手間と時間がかかるので、ひとまず入社してくれたら一安心・・・と思われる企業様も多いかと思います。
しかしながら、冒頭でもお伝えした通り、シンガポールは転職が当たり前の国です。新しく入社してくれた従業員が必ずしも定着してくれるとは限りません。今の会社でキャリアアップが見込めないと感じられると、またキャリアアップの為に転職をしてしまいます。

シンガポール政府も労働者のスキルアップを支援する政策や仕組みを積極的に取り入れており、国全体として会社から従業員に対してキャリアアップのための機会を提供するべき、という風潮がございます。
Randstad社によるEmployer Brand Research reportにおいても、退職のきっかけとなる理由のトップ3に「lack career growth opportunities」が挙げられています。

自社内で研修を実施されている企業様もいらっしゃいますが、従業員人数があまり多くない企業様にとっては、自社のみで研修を実施することは難しいかと思います。その場合は、外部で実施されている公開型の研修プログラムに従業員を送り出すのも1つです。

シンガポール政府が運営しているSkillsFutureのページにも様々なコースや助成金に関する情報が載っておりますので、こういったものを活用するのも良いかと思います。

パソナシンガポールでもローカルリーダー向けのトレーニングプログラムを5月から開催いたします。
1名・1科目・1日からご参加可能な公開型のプログラムです。こちらも是非ご検討ください。


上記画像から又は下記ボタンより詳細資料(PDF資料)のご確認、およびお申込みフォームをクリックください。




以上、今月は『シンガポールにおける採用活動~虎の巻 第2弾~』をお届けいたしました。
また、今後取り上げてほしいニュースレターのテーマについてご意見等ございましたら、どうぞお気兼ねなくご連絡ください。

※本記事で提供している情報は2025年2月28日時点の情報をもとに作成しています。ご利用される方のご判断・責任においてご使用ください。本記事で提供した内容に関連して、ご利用される方が不利益等を被る事態が生じたとしても、当社では一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。



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