いつもお世話になっております。パソナシンガポールです。
4月に入り、新たにシンガポールにご赴任された方も多くいらっしゃるかと思います。
ローカルスタッフの部下を管理をする立場にある方も多いかと思いますが、ローカルスタッフの就業規則書や雇用契約書はすでにご確認されましたでしょうか?
シンガポールには雇用法(Employment Act)があり、従業員の労働条件や福利厚生について最低限の基準が定められています。ただし、雇用法で定められているのはあくまで最低限の条件であり、実際にはそれ以上の手厚い労働条件や福利厚生を提供している企業が一般的です。
特に近年では、少子高齢化といった社会的背景もあり、昨年12月には政府よりFlexible Work Arrangement Requestsに関するガイドラインが施行されるなど、シンガポールのマーケットでは労働環境や制度への関心が高まっています。採用活動や優秀な人材のリテンションにも影響を及ぼすことから、制度の見直しを行う企業も増えています。
そこで今月の記事では「シンガポールの就労条件・福利厚生情報~マーケットスタンダードとトレンド~」をお届けいたします。本記事が皆様のお役に立てましたら幸いです。
※駐在員の方の入れ替えがあった際には、ぜひ弊社までお知らせください!
新しいご担当の方にニュースレターをお届けいたします。

【シンガポールの雇用法】
国が異なるため、日本とシンガポールでは労働条件や福利厚生の慣習に違いがあります。雇用法を遵守することは当然としても、実際には雇用法で定められた以上の条件を提供することが一般的です。
日本では求人票の福利厚生欄に「法定通り」と記載されることがよくありますが、シンガポールで「法定通り」とすると、他社と比較して条件が見劣りすると受け取られる可能性があります。
「日本の就労条件に合わせたい」と、日本の法制度や慣習をもとに条件を決められる企業もありますが、日本とシンガポールでは状況が異なる点も多く、基本的にはシンガポールの慣習に合わせて条件を設定することをおすすめいたします。
<こんなに違う!日本とシンガポールの法律と慣習>
【Pasona】就労条件、福利厚生の法律と慣習の違い.pdf
※クリックすると別画面で大きく表示されますので、そちらをご確認ください。
特にAnnual Leave(有給休暇)は法定と実際の慣習に乖離があるため、日系企業が設定を誤りやすいポイントの一つです。
シンガポール労働省(MOM:Ministry of Manpower)が行ったEmployees’ Working Conditionsの調査によると、Annual Leaveの取得日数は以下のように変化しています。
- 14日以下:38.9% → 30.8%
- 15~21日:44.3% → 49.6%
- 21日以上:16.7% → 19.7%
(※2018年~2023年の比較)

※クリックすると大きく表示されます。
(参照)Statistical Table: Employees’ Working Conditions
日系企業の中には、日本の制度に合わせて初年度のAnnual Leave(有給休暇)を10日に設定しているケースも見受けられますが、シンガポールでは初年度14日〜18日(※ポジションなどにより異なります)が一般的です。
シンガポールは日本と比べて祝日が少なく、ゴールデンウィークのようなまとまった連休がほとんどないため、有給休暇を活用しないと長期休暇が取りづらく、結果として取得率も高くなっています。
また、子どもを持つ親向けの休暇制度も日本とは異なります。
日本では出産前から子どもが1歳になるまで、1年以上にわたって産休・育休を取得するケースが多く見られますが、シンガポールでは Maternity Leave(産休) は、シンガポール国籍の子どもを持つ母親の場合、産前産後あわせて16週間のみとなっています。
無痛分娩での計画出産が一般的であるため、出産予定日のギリギリ3日前まで勤務し、そこから産休に入り、産後約4か月で職場復帰するというスタイルが一般的です。
また、日本では育休からの復帰後に時短勤務を選択する方が多い一方、シンガポールではそのような制度はあまり普及しておらず、フルタイムでの復帰が一般的です。
ただし、2024年12月からはFlexible Work Arrangement Requests ガイドラインが施行されており、今後は産後復帰時に Flexi-time や Flexi-load の申請をするケースも出てくるかもしれません。
さらにシンガポールでは今月より、働く親向けの休暇制度に改定がありました。
弊社のニュースレターでも何度かお知らせしておりますが、2025年4月1日より、Shared parental leave(育児休暇の共有)、Paternity leave(父親の育児休暇)が拡充されました。
詳細は以下のニュースレターをご確認ください。
https://mailchi.mp/pasona/singapore-expanding-parental-leave-sep2024
日本と同様に、シンガポールも少子化が進んでいる国です。今後も働く親を支援する制度はさらに拡充されていくのではないでしょうか。
以上、今月は『シンガポールの就労条件・福利厚生情報~マーケットスタンダードとトレンド~』をお届けいたしました。
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※本記事で提供している情報は2025年4月22日時点の情報をもとに作成しています。ご利用される方のご判断・責任においてご使用ください。本記事で提供した内容に関連して、ご利用される方が不利益等を被る事態が生じたとしても、当社では一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。
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