FWAガイドラインについてのFAQ

いつもお世話になっております。パソナシンガポールです。

いよいよ12月1日よりTripartite Guidelines on Flexible Work Arrangement Requests (TG-FWAR) がスタートします。既に本ガイドライン施行に向けて自社ポリシーを準備済みの企業様もいらっしゃれば、まずはどのようなリクエストが来るのかを見てから判断される企業様もいらっしゃるかと思います。

本ガイドラインについては、労働省(Ministry of Manpower:MOM)や公正かつ革新的な雇用慣行を目的とした政労使連合(Tripartite Alliance for Fair and Progressive Employment Practices :TAFEP)からも様々なリソースが提供されております。
その中で本ガイドラインに関するFAQs をまとめた資料も公開されています。

今月のニュースレターでは、11月19日にアップデートされた追加のFAQsの内容のご紹介を中心に、TG-FWARに関するお役立ち情報をご紹介いたします。
本記事がお役に立てれば幸いです。


TAFEPから提供されている、FAQs on Tripartite Guidelines on Flexible Work Arrangement Requests の中から、いくつか抜粋してご紹介いたします。

General FAQs on TG-FWAR


Q1. 既に自社でFlexible Work Arrangement(FWA)ポリシーを持っている場合、雇用主は従業員からの追加のFWA要請や会社のFWAポリシーの変更を検討しなければならないのでしょうか?

A1. 従業員は自社ポリシーを超えて、ポリシーにあるものとは異なる、またはより多くの形態のFWAを申請することが可能です。申請されたFWAに対応できるかどうかは、企業の判断次第です。申請を却下する場合は、業務に関連する理由を提示する必要があります。



Q3.  従業員が在宅勤務中に怪我をした場合、雇用主に労災補償を請求することができますか?また、雇用主は従業員の在宅勤務について、最低限の安全が確保されるよう要件を定めることができますか?

A3. 労災法(Work Injury Compensation Act)により、従業員は業務に起因し、業務遂行中に負傷した場合、負傷した場所に関係なく補償を受けることができます。これは、職場外、従業員の自宅、または従業員以外の自宅でも補償を受けることが可能です。
雇用主は従業員に対し、安全で働きやすい職場環境を確保するための措置を指導することができます。しかし、労災法では無過失補償制度を定めているため、従業員が雇用主の助言を守らなかったことが判明した場合でも、雇用主は労災補償を提供する責任を負う可能性があります。
 



Q6.  雇用主は、FWAを利用して海外勤務を希望する従業員をどのように扱うべきでしょうか?

A6. TG-FWARは一般的にシンガポール国内での正式なFWA申請に適用され、雇用主がすべてのFWA申請を承認する必要はありません。しかし、雇用主は従業員、事業、顧客に合ったFWAの形態を決定する必要があります。雇用主は、FWAが従業員やチームの生産性にどのような影響を与えるか、また組織への広範な影響を考慮する必要があります。
雇用主がこの申請を受け入れたいと考える場合、従業員が対象国で就労する権利を有しているかどうかや潜在的な税務上の影響について法的助言を求めるとともに、従業員保険の適用範囲について保険会社に確認することをお勧めします。
雇用主が、シンガポール国外からのリモートワークが組織に悪影響を与える、または実現不可能であると判断した場合、TG-FWARに基づき、理由を説明した上でその申請を拒否することができます。



Q7. TG-FWARは現場労働者(製造/生産、ヘルスケア、最前線の食品サービスなど)に適用されるのでしょうか?

A7. TG-FWARは、部門や職務に関係なく、試用期間を終了したすべての従業員に適用されます。決まった時間に現場に出勤する必要がある現場労働者の場合、その業務の性質上、在宅勤務など特定の種類のFWAが除外される場合があります。しかし、雇用主は他のタイプのFWAを検討することが推奨されます。

24時間体制の人材確保が必要な医療業界などでは、フレックスシフト制を導入することで、従業員が介護やその他の個人的なニーズに合わせて柔軟にシフトを選択できるようになります。また、雇用主はマンパワーを補強するために、Flexi-load の役割(業務量に柔軟性を持たせた役割)を提供することも検討するとよいでしょう。
 



Q8. 従業員が勤務体系をフルタイムからFlexi-load に変更したいと申請してきた場合、労働時間が短縮されることになりますが、それに比例して給与も減額されるべきでしょうか?

A8. 労働時間と負荷の変更を伴うFlexi-loadの取り決めには、通常給与の比例的な減額が伴います。雇用主と従業員はFlexi-loadの取り決めを開始する前に、予想される労働時間や負荷、給与の変更など、取り決めについて詳細に話し合い、双方に合意を得る必要があります。
 



Case management

Q11.  雇用主は、自社にFWA規定がない、または会社の規定が特定のタイプのFWAを規定していないことを理由に、FWAの申請を拒否することができますか?

A11.  TG-FWARの要件に従い、雇用主は自社にFWA方針がない場合やFWAを提供していない場合でも、正式な申請を検討し対応する必要があります。申請が拒否された場合、雇用主は申請を拒否する理由を明確に伝え、拒否の合理的な業務上の理由を提示すべきです。
また雇用主は、特に従業員が仕事を続けるためにFWAを必要とする場合、ケースバイケースでFWA要請を認めることが事業にとって実行可能で有益であると判断することもできます。
 



Interactions between TG-FWAR and upcoming Workplace Fairness Legislation

Q12. . 雇用主が(介護者や障害者などからの)FWA要請を拒否した場合、これはWorkplace Fairness Legislation(WFL)やTripartite Guidelines on Fair Employment Practices(TGFEP)に基づく差別とみなされますか?

A12. 雇用主がFWAを承認するか否かは、WFLまたはTGFEPの対象とはなりません。
TG-FWARは、企業が正式なFWAを検討するプロセスを有しているかどうかを対象としています。合理的な業務上の理由に基づきFWA申請を検討後、FWA申請を承認するかどうかは依然として雇用主の判断によります。
雇用主は、正式なFWAを検討するプロセスを設けていない場合、または合理的な業務上の理由なくFWA申請を拒否した場合、TG-FWARに違反することになります。

一方、WFL/TGFEPについては、保護特性に基づいて不利な雇用決定があったかどうかに基づいて審査が行われます。雇用決定は、公正かつ能力に基づいて行われるべきです。雇用主は、求職者または従業員をスキル、経験、職務遂行能力などの関連要因に基づいて評価すべきであり、FWAを申請するかどうかを基準とすべきではありません。



Interactions between TS-FWA and upcoming TG-FWAR

Q14. Tripartite Standard on Flexible Work Arrangements(TS-FWA)の廃止はいつからですか?

A14. TG-FWARが発効する2024年12月1日以降、TS-FWAは廃止となります。



Q15. TS-FWAを先に採用した先進的な雇用主は、どのようにして自らを選ばれる雇用主だとアピールし続けることができますか?

A15. TS-FWAは2024年12月1日以降、新規採用者の受け入れは終了しますが、TS-FWAを採用した企業は引き続きTAFEPのウェブサイトに掲載され、広報や採用資料で三者構成基準のロゴを使用し続けることができます。



以上のFAQsはFAQs on Tripartite Guidelines on Flexible Work Arrangement Requests を和訳してご紹介しています。必ず原文をご確認の上、ご参考にしていただければと存じます。

また、今回ご紹介したFAQs以外にも、MOMやTAFEPから本ガイドラインに関する様々なリソースが提供されております。是非ご参照くださいませ。

以上、今月は『TG-FWARに関するお役立ち情報』をお届けいたしました。
また、今後取り上げてほしいニュースレターのテーマについてご意見等ございましたら、どうぞお気兼ねなくご連絡ください。

※本記事で提供している情報は2024年11月28日時点の情報をもとに作成しています。ご利用される方のご判断・責任においてご使用ください。本記事で提供した内容に関連して、ご利用される方が不利益等を被る事態が生じたとしても、当社では一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。


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